2013年レジストラ認定契約(RAA)および基本gTLDレジストリ契約(基本RA)に対する2024年の包括的な修正
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ニュース
2023年11月7日 - 全ての基準得票数(承認しきい値)を満たしました!詳細については、このWebページの「投票の進捗」を参照してください。レジストリおよびレジストラは、引き続き2023年12月8日23:59(UTC)まで投票できます。
2023年10月9日 - 投票期間は17:00(UTC)に開始されました。レジストリおよびレジストラは、2023年12月8日23:59(UTC)まで投票できます。
関連リソース
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2013年レジストラ認定契約(RAA)
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基本ジェネリックトップレベルドメイン(gTLD)レジストリ契約(基本RA)
- ICANNアドバイザリ草案
- 包括的修正への投票:よくある質問(FAQ)
ウェビナーの動画
2023年9月21日、ICANN組織はウェビナーを開催し、RAAおよび基本RAの修正案を確認し、投票のプロセスと手続きの概要について説明し、各レジストラおよびレジストリオペレータが投票に参加するために必要な情報を確実に入手できるように質問を受け付けました。このウェビナーでは、アラビア語、中国語、フランス語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語の同時翻訳が提供されました。
言語別のウェビナーの音声録音のリストを以下に示します。
英語 | アラビア語 | 中国語 | フランス語 |
ポルトガル語 | ロシア語 | スペイン語 |
背景
2022年11月に、レジストラステークホルダーグループ(RrSG)とレジストリステークホルダーグループ(RySG)(総称して契約当事者議会(CPH))は、ICANN組織に対し、DNSの不正使用を停止または妨害するという明確な義務を設けて、既存の契約を協力して強化するというアイデアを提案しました。この提案の中で、CPHは修正案に特定の指針を提案し、ICANNが合意しました。
- 新しい規定では、主に、以下のように定義されたDNSの不正使用への対策が記載されています。
- 今回の修正には、Webサイトのコンテンツ不正使用や登録データへのアクセスに関する事項は含まれません。
- いかなる新しい規定も、各契約においてレジストラとレジストリの役割と責任を適切に反映すべきであり、いずれのグループにパススルー要件を強制するものではありません。
2023年1月、ICANN組織はRrSGおよびRySGからの書簡に回答し、2013年のレジストラ認定契約(RAA)および基本gTLDレジストリ契約(基本RA)を修正し、既存の不正使用への対策に関する義務を強化するプロセスを正式に開始しました。提案された修正により、ICANN契約遵守部門は、十分な証拠があるDNSの不正使用を阻止あるいは妨害するために合理的に求められる迅速かつ適切な行動を取らないレジストラまたはレジストリオペレータに対して強制的な措置を講ずることが可能になります。
これは、ICANNコミュニティ全体に開かれた方針の議論や、将来的にはCPHとICANN組織との交渉も視野に入れた、長期的な取り組みのため重要な構成要素になります。どのような義務を追加すべきかについて検討を広げ、コミュニティ全体のプロセスにおいてレジストラおよびレジストリオペレータに求める対策をより詳細に定義するために、ジェネリックドメイン名支持組織(GNSO)で追加の方針の策定を追求することも可能です。
その結果、以下の修正案が盛り込まれました。
- 不正使用に関する連絡先が、契約当事者(CP)のWebページで容易にアクセスできるようになっていること、および不正使用の報告書を受領したときに報告者に確認を提供すること
- レジストラおよびレジストリオペレータが、不正使用を報告する仕組みとして電子メールの代わりにWebフォームを使用できること
- RAAおよび基本RAにおけるDNSの不正使用の定義
- 契約当事者が、ドメインがDNSの不正使用に使用されていることを証明できる告発可能な証拠があるドメインに対して、適切な対策を速やかに講じるための具体的な要件
- 契約当事者は、各ケースの状況に応じて、合理的な裁量によって適切な対策を選択し実施する必要があるとの認識
- レジストラとレジストリオペレータの異なる役割の認識
- DNSの不正使用にgTLDドメイン名が使用される状況を停止または妨害するという目標
さらに、基本RAの修正案では、仕様11のセクション3(b)が修正され、「セキュリティの脅威」という用語が「DNSの不正使用」に置き換えられ、レジストリオペレータは、トップレベルドメイン(TLD)内のドメインがDNSの不正使用に用いられているかどうかを評価するための技術的分析を定期的に実施し、特定されたDNS不正使用のケースについて統計レポートを維持しなければならないことが明確になりました。「セキュリティの脅威」を「DNSの不正使用」に置き換えることのメリットは、レジストリオペレータがスパムを他の形態のDNSの不正使用の配信の仕組みとして使用される場合にスパムを含めるように要件が拡大することです。さらに、このようなスパムのタイプは、定期的な分析や報告書に追加され記載されます。
今回の修正は、DNSの不正使用に対応する契約当事者の行動によって引き起こされる巻き添え被害を抑制しつつ、DNSの不正使用によって引き起こされる被害および犠牲の範囲および程度を最小限に抑えるための迅速で合理的な対策を講ずることを目的としています。この修正案は、最適な当事者または団体が問題を徹底的に検討し、状況に応じて適切かつ相応の対策を講じることを想定しています。すべてのケースでにおいて望ましい結果を保証するものではないため、提案された修正案では特定の対策や対策期間を指定していません。交渉にあたったチームはアプローチの規定についても議論しましたが、最終的には、そのようなアプローチは、DNSの不正使用がドメイン名の侵害や、迅速な対応が求められる状況下で対応の遅れを伴う場合、 意図せず望ましくない不当な結果をもたらす可能性があると判断しました。対策が妥当または迅速であるかどうかは、各ケースの具体的な状況によって異なります。
ICANN組織はまた ICANNアドバイザリー草案を作成しました。この草案は、改正案が承認された時点で発行され、契約当事者アドバイザリーのWebページに掲載されます。アドバイザリの草案では、新しい要件について詳細に説明し、ガイダンスを示し、遵守するために契約当事者に期待される行動について定めています。アドバイザリの草案では、「対策」、「対策の適切さ」、「停止」(不正使用の停止)、「妨害」(不正使用の妨害)といった用語についても詳しく説明しています。さらに、アドバイザリの草案には、DNSの不正使用、告発可能な証拠、および各ケースの状況を考慮した適切かつ迅速な対策の例が記載されています。
RAAと基本RAの変更案は、パブリックコメントを募集するため2023年5月29日に公開されました。2023年8月31日、ICANN組織はパブリックコメント概要報告を発表しました。
投票プロセスと手続き
2023年9月25日、ICANN組織から正式な通知がレジストラのプライマリ連絡先と企業の連絡先、およびレジストリオペレータのプライマリ連絡先と法務担当者に送信され、投票期間が2023年10月9日17:00(UTC)に開始されることが通知されました。
2023年10月9日(月)17:00(UTC)に、命名サービスポータル(NSp)に掲載されているレジストラおよびレジストリのプライマリ連絡先は、Votenetが運営する安全な第三者のオンライン投票プラットフォーム、eBallotから電子メールで連絡を受けとりました。電子メールはnoreply@eballot.comから送信されました。
招待メールには、プライマリ連絡先が投票できるオンライン投票プラットフォームへの直接リンクが含まれていました。オンライン投票は、ブラウザ機能を搭載するスマートフォンやデバイスからアクセスできます。
- レジストリオペレータへの対応:レジストリのプライマリ連絡者のメールアドレスが、同じレジストリオペレータアカウントの複数のgTLDに関連している場合、投票はレジストリのプライマリ連絡者の同じメールアドレスに関連する各gTLDに適用されます。レジストリのプライマリ連絡先は、レジストリオペレータのアカウント1つにつき1通の招待メールを受け取ります。ただし、レジストリオペレータアカウントのgTLDに、固有のレジストリオペレータのメールアドレスが関連付けられている場合は除きます。かかる場合には、レジストリオペレータアカウントに関連付けられた固有のレジストリのプライマリ連絡先のメールアドレスに、個別に招待状が送信されます。
- レジストラへの対応:レジストラのプライマリ連絡先のメールアドレスが複数のレジストラに関連する場合(レジストラがレジストラグループの一部である場合など)、投票は当該グループ内の関連するすべてのレジストラに適用されます。
投票方法:投票者は以下の2つの方法を選択できます。
- 「承認」 - 「承認」に投票すると、提案された包括的修正案を承認することを意味します。
- 「否認」-「否認」に投票すると、提案された包括的修正案を承認しないことを意味します。
棄権や投票しないことは、「否認」に投票することと同じになります。
投票の準備と投票後の処理
投票期間に何を準備すべきか、投票終了後にどのように処理されるのかを以下に説明します。
- プライマリ連絡先の情報の確認:命名サービスポータル(NSp)のプライマリ連絡先が最新であり、契約当事者の代表者として投票する権限を持つ適切な個人であるかどうかを見直し、確認してください。
- 投票期間は2023年10月9日17:00(UTC)に開始されており、60日間続きます。
- 投票期間終了後の処理:投票は集計された後、独立した第三者投票管理機関であるVotenetによって検証されます。その後、基本RAとRAAの包括的な修正案(それぞれ、基本RAの包括的修正案とRAAの包括的修正案)は、ICANN理事会と共有され、検討されます。
- 承認される場合:ICANNが通知を行ってから60日後に基本RAとRAAの包括的修正案が発効し、承認された修正案とみなされます。包括的修正案が承認されない場合、今後の対応を協議するために交渉チームに差し戻されます。
投票の計算
レジストリオペレータの承認
基本RAのセクション7.6(j)(ii)に定義されているように、レジストリオペレータの承認は、以下の2つのしきい値を満たさなければなりません。
- ICANNに前年度支払われた合計料金の3分の2の支払いを占めるレジストリオペレータによる「承認」投票
- レジストリオペレータの過半数(50%以上)による「承認」投票。各レジストリオペレータは、1件のTLDレジストリ契約につき1票の投票権を有します。
レジストラの承認
RAAのセクション1.20.1で詳細に定義されているように、レジストラの承認は、以下のしきい値を満たさなければなりません。
- 管理されている登録ドメイン総数(TDUM)の90%を占めるレジストラからの「承認」投票。RAAのセクション1.20.1に従って、TDUMはレジストラ間の投票の重みが均等になるように調整されます。最終的なTDUMの調整は、投票期間の終了前に入手可能な各レジストラの最新のトランザクションレポートに基づいて最終的に計算されます。
投票の進捗
以下は、レジストリオペレータの承認を得るために必要な2つのしきい値と、レジストラの承認を得るために必要なしきい値に対する投票の進捗状況をグラフで表したものです。
レジストリオペレータの投票
レジストリオペレータの手数料しきい値の表(以下のグラフ):このグラフは、「直前の暦年の間のICANNに対する支払手数料の総額の2/3を占める該当レジストリオペレータによる肯定的な承認に到達するまでの投票の進捗を示しています。
*2023年11月7日現在
該当するレジストリオペレータの過半数しきい値の表(以下のグラフ):このグラフは、該当するレジストリオペレータの過半数の承認に到達するまでの投票の進捗を示しています。該当する各レジストリオペレータはTLDレジストリ契約ごとに1票の投票権を有します。
*2023年11月7日現在
承認しきい値に対する割合の表:以下のグラフは、基本RAの包括的修正の承認に必要な手数料と過半数のしきい値に対する肯定的な投票率の経時的な推移を表しています。データポイントは、ICANNがサードパーティの投票ソフトウェアから投票データを収集した日付を表します。
*2023年11月7日現在
レジストリオペレータの投票状況:以下のExcelファイルには、該当レジストリオペレータのリストと各オペレータの投票状況が記録されています。このファイルには次のデータが含まれています。(1) TLD、(2) レジストリオペレータ名、(3) 投票状況。「X」は投票を行ったことを示します。
- 該当するレジストリオペレータの投票状況(2023年11月7日現在)
レジストラの投票
レジストラの承認しきい値の表:以下のグラフは、RAAの1.20.1項に従って算出された、該当レジストラの管理下にある登録ドメイン名の総数(TDUM)の90%を占める該当レジストラの承認を得るための投票の経過を示しています。
*2023年11月7日現在
承認しきい値に対する割合の表:以下のグラフは、RAAへの包括的修正案の承認に必要なしきい値に対する肯定的な投票率の経時的な推移を表しています。データポイントは、ICANNがサードパーティの投票ソフトウェアから投票データを収集した日付を表します。
*2023年11月7日現在
レジストラの投票状況:以下のExcelファイルには、該当レジストラのリストと各オペレータの投票状況が記録されています。このファイルには次のデータが含まれています。(1) レジストラのIANA ID、(2) レジストラ名、(3) 投票状況。「X」は投票を行ったことを示します。
- 該当するレジストラの投票状況(2023年11月7日現在)
レジストラTDUMのレポート:下記のExcelファイルには、投票期間開始前の直近のレジストラごとのトランザクションレポート(この例では2023年7月のレポート)の該当レジストラのリストとレジストラ別のTDUM数が表示されています。
このファイルには次のデータが含まれています。
- タブ「レジストラのTDUM数」:(1) レジストラのIANA ID、(2) レジストラ名、および (3) レジストラによる管理下にある登録ドメイン名の総数(TDUM)。
- タブ「関連団体TDUM数の上位5位」:レジストラ関連団体の上位5位(匿名化)と各TDUM。
透明性に関する注:ICANN組織の投票管理者となるVotenetは、独立した第三者投票管理者であり、投票者のデータにアクセスできます。ICANN組織は60日間の投票期間中に、レジストリオペレータまたはレジストラが投票したかどうかを含む投票の進捗に関するデータを公表しますが、法律、ICANNの文書情報開示規程、またはその他の適用規定で必要とされる場合を除き、個々のレジストリオペレータまたはレジストラによる投票活動に関するデータを公表しません。
*このWebページは、RAAと基本RAの条項を要約し、参考資料とすることを目的としています。疑義を避けるために付言すると、本書に含まれるいかなる表明も、RAAや基本RAの条項をいかなる形でも修正または補足するものとはみなされません。このWebページで使用されている大文字の用語および参照セクションの意味は、RAAと基本RAで定義されています。
過去のニュース
2023年10月19日 - 投票の進捗情報はこのWebページの「投票の進捗」のセクションで参照できます。
2023年10月5日 – 「ICANN契約当事者によるDNS不正利用対策の修正案への採決」、ブログ執筆者:グローバルドメイン部門、アカウントおよびサービス、バイスプレジデント、Russ Weinstein
2023年9月27日 – 「ICANNの「DNS不正利用に関する討論日」に125人以上の参加者が集まる」 ブログ執筆者:グローバルドメイン部門、アカウントおよびサービス、バイスプレジデント、Russ Weinstein
2023年9月25日 - レジストリおよびレジストラのプライマリ連絡先、レジストリの法務担当者、およびレジストラの企業の連絡先は、投票期間が2023年10月9日17:00時(UTC)に開始することをレジストリおよびレジストラに通知する電子メールを受け取りました。
2023年9月21日 - ICANN組織は、修正案を検討し、投票プロセスおよび手続きの概要を説明するために、ウェビナーを開催しました。詳細については、下記の「ウェビナー」セクションを参照してください。
2023年9月4日 - 「DNS不正利用に関する討論日」では、レジストラおよびレジストリオペレータに対する契約修正案と、修正案が契約当事者にとって何を意味するのかについて取り上げました。また、DNSの不正利用対策に関する議論や能力開発のセッションも行われました。録画とプレゼンテーションについては、ICANN DNSシンポジウム(IDS)のWebページを参照してください。https://www.icann.org/ids.
2023年8月16日 – ICANN、ベトナムでDNS不正利用に関する会合を開催、ブログ執筆者:グローバルドメイン部門、アカウントおよびサービス、バイスプレジデント、Russ Weinstein
2023年6月13日 – DNS不正使用に関する交渉:CPHアウトリーチセッション。ICANN77では、ICANN組織とCPH NTが合同でセッションを開催し、修正点の説明と質疑応答を行いました。
2023年5月30日 – DNS不正使用への対策契約の修正のアップデートセッションがICANN77の準備週間に開催されました。ICANN組織とCPH NTが合同でセッションを開催し、修正点の説明と質疑応答を行いました。
2023年5月30日 – ICANNと契約交渉の更新情報:DNS不正使用への対策要件の改善、ブログ執筆者:暫定プレジデント兼CEO、Sally Costerton
2023年1月18日 – DNS不正使用への対策要件の改善に関するICANNと契約当事者の交渉、ブログ執筆者:暫定プレジデント兼CEO、Sally Costerton